
「東芝パソコン撤退」と聞くと、東芝のパソコン事業が突然なくなったように感じるかもしれません。実際には、東芝がクライアント向けPC事業を担っていた会社の株式をシャープへ譲渡し、事業の担い手が変わったというのが正確です。
2018年10月1日に東芝クライアントソリューション株式会社の株式80.1%の譲渡が完了し、2019年1月には同社がDynabook株式会社へ社名変更しました。さらに2020年8月、東芝が残していた19.9%もシャープへ譲渡され、Dynabookはシャープの完全子会社になっています。この記事では、撤退の理由と現在の状況を公式発表をもとに整理します。
東芝パソコン撤退とは何を意味する?
結論からいうと、東芝本体が従来の形でクライアント向けPC事業を続けるのをやめ、PC事業を担っていた東芝クライアントソリューション株式会社の株式をシャープへ譲渡したことを指します。
東芝は2018年6月5日付の株式譲渡に関する発表で、発行済み株式の80.1%をシャープへ譲渡すると公表しました。その後、2018年10月1日付の発表で譲渡完了と、東芝の連結対象から外れたことを明らかにしています。
したがって、検索上の「撤退日」を一つ挙げるなら、事業会社の株式譲渡が完了した2018年10月1日が大きな区切りです。ただし、会社名がDynabook株式会社に変わったのは2019年1月、東芝が資本関係から完全に離れたのは2020年8月です。これらは同じ出来事ではありません。
| 確認したいこと | 答え |
|---|---|
| 東芝のPC事業の区切り | 2018年10月1日の株式譲渡完了 |
| 事業を担う会社の社名 | 2019年1月からDynabook株式会社 |
| 現在の親会社 | 2020年8月以降はシャープ株式会社 |
なぜ東芝はPC事業を手放したのか
東芝が公式に示した個別の理由は、シャープをパートナーにすることで、PC事業のグローバル市場における競争力と企業価値を高め、事業を継続的に発展させることが最適だと判断したためです。単にブランドを消すという説明ではなく、事業を別の資本のもとで立て直し、継続するための株式譲渡という位置づけでした。
その判断に至る前段として、東芝は2015年12月の「新生東芝アクションプラン」で、パソコン事業について一層の軽量経営を実現し、他社との事業再編も視野に入れる方針を示しています。
また、2018年6月の譲渡発表では、2016年4月にパソコン事業を東芝クライアントソリューションへ移管した後、BtoB事業の中核事業化、人員対策、拠点集約、ODMへの生産・開発委託の中止などによる事業安定化策を進めてきたと説明しています。つまり、東芝はPC事業をそのまま拡大するよりも、体制を軽くし、他社との再編も含めて競争力を高める方向を探っていたと読めます。
背景には、東芝グループ全体の構造改革と事業ポートフォリオの見直しもありました。東芝の沿革は、2015年に発覚した不正会計問題や海外原子力事業の損失などを受けて大きな危機を迎えたと説明しています。ここはPC事業の譲渡理由を一言で断定するのではなく、全社的な改革の流れの中でPC事業も再編対象になった、と整理するのが適切です。
事業売却の時系列:東芝クライアントソリューションからDynabookへ
「東芝からDynabookへ何が変わったのか」を理解するには、会社の沿革と株式の動きを分けて見ると分かりやすくなります。Dynabook公式の会社概要・沿革と東芝の発表をもとにすると、主な流れは次のとおりです。
- 2016年4月:東芝からPC関連事業を承継し、東芝クライアントソリューション株式会社へ社名変更。
- 2018年6月5日:東芝が同社の発行済み株式80.1%をシャープへ譲渡する契約を公表。
- 2018年10月1日:株式譲渡が完了し、東芝クライアントソリューションが東芝の連結対象から外れる。
- 2019年1月:東芝クライアントソリューション株式会社がDynabook株式会社へ社名変更。
- 2020年8月:東芝が保有していた残り19.9%の株式もシャープへ譲渡し、Dynabookがシャープの完全子会社になる。
このため、「2018年にシャープへ売却」「2019年にDynabookへ改称」「2020年にシャープの完全子会社化」は、どれも正しいものの、指している段階が異なります。検索記事や中古PCの説明で年代が混ざっているときは、株式譲渡、社名変更、完全子会社化のどれを指しているかを確認しましょう。
「撤退」と「倒産・ブランド消滅」は違う
東芝のPC事業からの撤退は、東芝クライアントソリューションが倒産したことや、PC製品がすべて消えたことを意味しません。2018年10月1日の譲渡完了を知らせる発表でも、同社はシャープのもとで競争力と企業価値を高め、パソコン事業の継続的な発展を目指すと説明されています。
また、2018年6月の譲渡発表には、東芝がPCなどに関するブランド使用権をシャープへ許諾する旨も記載されています。会社の所有関係が変わっても、移行期間にブランドや製品・サービスを継続できるようにする契約上の整理があったと分かります。
さらに、東芝インフラシステムズは2018年6月、東芝産業用コンピューター事業は従来どおり継続すると告知しました。ここからも、譲渡の対象になったクライアント向けPC事業と、東芝グループ内の産業用コンピューターなどを一括りにしないことが大切です。
要するに、東芝の看板で展開してきたクライアントPC事業は東芝本体から離れましたが、PCの開発・販売・サポートを担う会社まで消滅したわけではありません。
現在のDynabookはどうなっている?
現在の会社名はDynabook株式会社です。公式の会社概要では、国内・海外におけるパソコンおよびシステムソリューション商品の開発、製造、販売、サポート・サービスを事業内容として掲げています。
親会社との関係は、2020年8月の東芝公式発表で、東芝が保有する19.9%をシャープへ譲渡し、Dynabookがシャープの100%子会社になったと説明されています。Dynabook公式の沿革にも、2018年10月の80.1%譲渡、2019年1月の社名変更、2020年8月の完全子会社化が掲載されています。
| 項目 | 現在の整理 |
|---|---|
| PC事業を担う会社 | Dynabook株式会社 |
| ブランド | dynabook |
| 親会社 | シャープ株式会社 |
| 事業のルーツ | 東芝のPC関連事業 |
製品事業も終了していません。Dynabook公式の最新PC製品ラインアップには、2026年8月号のカタログや、ホームノート、モバイルノートなどの現行シリーズが掲載されています。法人向けにも、ビジネスノート、モバイルノート、5in1・2in1、デスクトップPCなどのラインアップが案内されています。
したがって、現在のDynabookを「東芝の名前だけが残った製品」と見るのは正確ではありません。東芝のPC事業をルーツとしながら、現在はDynabook株式会社が独立した製品・サポート事業の主体となり、企業グループとしてはシャープに属している、という関係です。
東芝のPCを使っている人が確認すること
古い東芝製ノートPCを使っている場合、まず本体底面や購入時の書類で型番を確認してください。「東芝製」というブランドだけでは、対応OS、ドライバー、修理可否、保証期間までは判断できません。
- 型番を確認する:本体底面の銘板、購入時の納品書、取扱説明書などから、シリーズ名だけでなく型番まで控えます。
- 公式サポートで検索する:Dynabookのサポートページで、型番に対応するマニュアル、ドライバー、FAQなどを確認します。
- OSの状態を調べる:Windowsのバージョンやエディションを確認し、利用中のソフトや周辺機器の動作条件と照らし合わせます。
- 保証・修理条件を個別に確認する:古い機種や販売店独自保証では条件が異なるため、メーカー公式の案内と購入店の保証書を分けて確認します。
OSの確認手順を知りたい場合は、当サイトのパソコンのWindowsを調べる方法も参考になります。また、会社関係をさらに詳しく確認したい場合は、ダイナブックのメーカーについての記事もあわせてご覧ください。
買い替えを検討するときは、「東芝の後継だから」という理由だけでモデルを決めず、用途、CPU、メモリ、ストレージ、画面サイズ、持ち運びやすさ、保証を型番ごとに比較しましょう。価格や在庫、現行モデルの仕様は変わるため、購入直前に公式製品ページや販売店で確認するのが安全です。
よくある疑問
dynabookは東芝製ですか?
「ルーツ」という意味では東芝のPC関連事業を受け継いでいます。一方、現在の製品事業を担う会社はDynabook株式会社で、親会社はシャープ株式会社です。東芝、Dynabook、シャープは、ブランド・メーカー・親会社という別の観点で整理すると混同しません。
シャープがパソコンを作っているのですか?
企業グループの親会社という意味では、Dynabookはシャープの完全子会社です。ただし、PCのメーカー名や製品ブランドとして確認するのはDynabook株式会社とdynabookです。シャープの親会社化だけを理由に、すべての製造拠点や個別モデルの仕様をシャープ製と断定することはできません。
東芝はパソコンを完全にやめたのですか?
クライアント向けPC事業を東芝本体の連結子会社として運営する形は、2018年10月1日の株式譲渡で終了しました。ただし、PC事業を担っていた会社はDynabookとして事業を続けています。また、東芝インフラシステムズが産業用コンピューター事業の継続を告知していたように、「すべてのコンピューター関連事業がなくなった」という意味ではありません。
今でもdynabookのパソコンは買えますか?
Dynabook公式サイトには個人向け・法人向けのPC製品ラインアップが掲載されています。ただし、販売価格、在庫、販売終了時期、搭載仕様はモデルごとに変わるため、購入時点の公式製品ページと販売店の情報を確認してください。
まとめ
東芝パソコン撤退の実態は、東芝がクライアント向けPC事業を担っていた東芝クライアントソリューション株式会社の株式80.1%を、2018年10月1日にシャープへ譲渡したことです。2019年1月に社名はDynabook株式会社へ変わり、2020年8月には残る19.9%もシャープへ譲渡されました。
理由は、東芝全体の構造改革とPC事業の体制見直しを背景に、シャープをパートナーとしてグローバル市場での競争力と企業価値を高め、事業を継続発展させるためです。撤退は倒産やブランド消滅ではなく、PC事業の主体と資本関係が変わったと考えると理解しやすくなります。
現在のメーカーはDynabook株式会社、親会社はシャープ株式会社、事業のルーツは東芝です。古い東芝製PCを使っている人や買い替えを考えている人は、ブランド名だけで判断せず、型番ごとの仕様、OS、保証、サポート情報を公式ページで確認しましょう。
参考にした公式情報
- 東芝「新生東芝アクションプラン」の実施について
- 東芝「東芝クライアントソリューション株式会社の株式譲渡に関するお知らせ」
- 東芝「東芝クライアントソリューション株式会社の株式譲渡完了」
- 東芝「当社保有のDynabook社株式のシャープへの譲渡について」
- Dynabook「会社概要」
- Dynabook「最新PC製品ラインアップ」
※製品ラインアップ、価格、在庫、保証、サポート内容は変更される場合があります。購入・修理の前に、対象機種の公式情報をご確認ください。


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